「うちのホームページ、WordPressで作ったきり何もしていないけど大丈夫かな……」。そんな不安を感じたことはありませんか。
WordPressは世界中で使われている人気のホームページ作成ツールです。企業サイトやブログなど、あらゆる場面で利用されています。ただし、作って終わりではなく、定期的な手入れ——つまり「保守」が欠かせません。
保守を怠ると、ある日突然ホームページが真っ白になったり、知らないうちに不正な広告が表示されていたり、顧客の個人情報が漏れたりすることがあります。これは大企業だけの話ではなく、むしろ担当者が少ない中小企業ほど被害が深刻になりやすいのが現実です。
この記事では、WordPressの保守を放置するとどんなトラブルが起きるのか、なぜ放置が危険なのか、そして今すぐどこから手を付ければいいのかを、専門知識がなくても分かるようにまとめています。
- 自社サイトをWordPressで運営しているが、保守をほぼ何もしていない担当者や経営者
- 「更新」「バージョンアップ」などの言葉を聞いたことはあるが、やらないとどう困るのか知りたい人
- 専門的な操作手順より先に「まず何をすべきか」だけ知りたい人
逆に、サーバーの細かい設定方法やコードの書き方を探している人には物足りない内容かもしれません。

WordPressの保守とは何をすることなのか——放置するとどうなるかをイメージする
WordPressの保守とは、ホームページを安全かつ正常に動かし続けるための定期的な手入れのことです。家にたとえると、屋根や外壁の点検、鍵の交換、水回りの修理といった作業に近いものがあります。住んでいるだけでは家が勝手に直らないように、ホームページも「公開したまま何もしない」と徐々に問題が蓄積していきます。
具体的には、次のような作業が保守にあたります。
- WordPress本体のバージョンアップ(新しいバージョンへの更新)
- プラグインの更新(プラグインとは、ホームページに機能を追加する部品のようなもの)
- テーマの更新(サイトの見た目を決めるデザインテンプレートの更新)
- バックアップの取得(万が一のときに元に戻せるようデータを複製しておくこと)
- セキュリティの点検(不正アクセスや改ざんがないかの確認)
- サーバー環境のチェック(ホームページが置いてある「場所」の状態確認)
これらをまとめて「保守」と呼んでいます。一つひとつは地味な作業ですが、どれか一つでも長期間放置すると、突然大きなトラブルにつながるのが怖いところです。
たとえば、プラグインを1年以上更新していなかったある企業のサイトでは、古いプラグインのセキュリティの穴を突かれて海外の詐欺サイトに転送される状態になっていました。社員が気づいたのは、取引先から「おたくのサイトを開いたら怪しいページに飛ばされた」と連絡を受けたときです。
ここで押さえておきたいのは、WordPressの保守は「壊れてから直す」のではなく「壊れないように手入れし続ける」作業だということです。車の車検や定期点検と同じで、動いているうちに手を打つから大きな故障を防げるわけです。
保守をしていない状態とは、具体的にどんな状態か
「保守をしていない」と言われても、何がどうなっているかピンとこない方も多いでしょう。分かりやすいチェックポイントを挙げてみます。
- WordPress管理画面に「更新」の赤い数字が何十個も表示されている
- 最後にログインしたのがいつか思い出せない
- バックアップを取ったことがない、またはどこに保存されているか分からない
- サイトを作った制作会社と、納品後まったく連絡を取っていない
- 「更新ボタンを押して何か壊れたら困る」と思って、一切触っていない
どれか一つでも当てはまるなら、あなたのサイトは保守が必要な状態です。この先のセクションで、放置した場合に何が起きるのかを具体的に見ていきましょう。

保守を放置するとどんなリスクがあるのか——被害の種類と深刻さを知る
保守を怠ったWordPressサイトに起きるリスクは、大きく分けて4つあります。それぞれがどのくらい深刻なのか、身近な場面に置き換えながら説明します。
リスク1:不正アクセスやサイト改ざん
保守を放置した場合に最も怖いのが、外部からの不正アクセスです。WordPress本体やプラグインには、時間が経つと「セキュリティの穴」が見つかることがあります。開発者はその穴を塞いだ新しいバージョンを配信しますが、更新しなければ穴は開きっぱなしです。
身近にたとえると、玄関の鍵に欠陥が見つかったのに交換せず使い続けている状態です。悪意のある第三者はこの穴を狙って侵入します。
実際に起きるトラブルとしては、次のようなものがあります。
- サイトの内容が書き換えられ、まったく関係のない広告や詐欺ページが表示される
- 訪問者を別のサイトに自動転送する仕掛けを埋め込まれる
- お問い合わせフォームから送信された顧客の名前やメールアドレスが外部に漏れる
- サイトがウイルスの配布元として悪用され、Google検索で「このサイトは危険です」と表示される
こうなると被害は自社だけにとどまりません。サイトを訪れたお客様や取引先にも迷惑がかかり、企業としての信用が大きく損なわれます。
リスク2:サイトが突然表示されなくなる
WordPressはサーバー上で動くソフトウェアです。サーバー側の環境が変わったとき、古いWordPressやプラグインが対応できず、画面が真っ白になったり、エラーメッセージだけが表示されたりすることがあります。
たとえば、レンタルサーバー会社がセキュリティ強化のために古い動作環境のサポートを終了することがあります。このとき、WordPressやプラグインが古いままだと、ある日を境にサイトが動かなくなるのです。
企業のホームページが突然見られなくなると、次のようなことが起きます。
- 検索経由で来るはずだったお客様が離脱する
- お問い合わせフォームが使えず、商談の機会を逃す
- 「この会社、大丈夫かな?」と不信感を持たれる
- 復旧作業に時間と費用がかかり、通常業務にも影響が出る
バックアップがあれば復旧できる可能性がありますが、バックアップすら取っていなかった場合、最悪ゼロから作り直すことになります。
リスク3:検索順位が下がり、集客力が落ちる
Googleは、サイトの安全性や表示速度を検索順位の判断材料にしています。保守されていないWordPressサイトは、表示が遅くなったり、セキュリティ警告が出たりすることがあります。そうなると検索結果で上位に表示されにくくなります。
身近にたとえると、繁盛していたお店の看板が汚れて読めなくなり、お客さんが素通りしてしまうようなイメージです。記事の内容がどれだけ良くても、サイトそのものの状態が悪ければ、そもそも読者に届かなくなるのです。
特に企業サイトでは、ホームページからの問い合わせや資料請求が売上に直結していることがあります。検索順位が下がるということは、目に見えない形で売上機会を失い続けていることを意味します。
リスク4:復旧・修正のコストが膨らむ
保守を後回しにすればするほど、いざ手を入れるときの作業量と費用が大きくなります。これは虫歯と同じです。初期に治療すれば数千円で済むものが、放置して悪化すると何万円もかかります。
たとえば、WordPressのバージョンが2世代、3世代と古くなった状態でまとめて更新しようとすると、プラグインやテーマとの間で不具合が起きやすくなります。そうなると「更新」ではなく「作り直し」に近い作業が必要になり、制作会社に依頼すると数十万円以上かかることもあります。
こまめに保守していれば月額数千円から数万円で済んだはずのコストが、放置によって一気に跳ね上がる。これが保守を怠る「隠れたコスト」です。
なぜ多くの企業がWordPress保守を後回しにしてしまうのか——よくある理由と誤解
ここまで読んで「それなら保守しなきゃ」と思った方も多いはずです。では、なぜ実際には多くの企業が保守を放置してしまうのでしょうか。よくある理由を整理し、それぞれの誤解を解いていきます。
「動いているから問題ない」という思い込み
最も多いのがこのパターンです。サイトが表示されている=正常、だと思ってしまう気持ちは分かります。しかし、セキュリティの穴は目に見えません。サイトが改ざんされていても、管理画面を確認しなければ気づけないケースがほとんどです。
実際、不正アクセスを受けた企業の多くが「まさかうちが狙われるとは思わなかった」と話します。攻撃者は企業の規模に関係なく、セキュリティの穴があるサイトを機械的に探して侵入します。つまり、小さな会社だから安全ということはまったくありません。
「更新ボタンを押したら壊れそうで怖い」
これもよく聞く理由です。以前、更新ボタンを押したらレイアウトが崩れた、という経験がある方は特に慎重になるでしょう。たしかに、更新によって見た目や機能に影響が出ることはあります。
しかし、だからといって更新しないという選択はもっと危険です。正しいやり方は「更新しない」ではなく「壊れても戻せるようにバックアップを取ってから更新する」です。バックアップがあれば、万が一不具合が起きても元の状態に復元できます。
「制作会社に任せたはず」という認識のズレ
ホームページを制作会社に依頼して作った場合、制作費には保守費用が含まれていないケースが多くあります。制作と保守は別のサービスです。
たとえば、家を建てた工務店が、何も言わなくても毎年点検に来てくれるわけではありません。点検を依頼するか、保守契約を結ぶ必要があります。WordPressも同じで、保守契約を結んでいなければ、制作会社は納品後のトラブルに対応する義務がないのが一般的です。
「作ってもらったからあの会社が面倒を見てくれているはず」と思い込んでいると、何年も放置された状態になりかねません。まずは制作会社との契約内容を確認してみてください。
「社内に詳しい人がいない」
中小企業では、専任のIT担当者がいないことも珍しくありません。ホームページの管理を担当していた社員が異動や退職で不在になり、誰も触れなくなるケースもあります。
この場合、無理に社内だけで対応しようとする必要はありません。後ほど解説しますが、保守だけを外部に依頼するサービスがあります。まずは「自分たちだけで抱え込まない」と決めることが第一歩です。
「コストをかけたくない」
保守にお金を払うのはもったいない、と感じる経営者もいます。ただ、先ほど触れたように、放置して問題が大きくなったときの修復費用は保守費用の何倍にもなり得ます。
保守費用は「トラブル予防のための保険」だと考えると、判断しやすくなります。月々数千円から数万円の保守費用と、数十万円の復旧費用や信用失墜のダメージを天秤にかければ、どちらが合理的かは明らかです。
今すぐ始められるWordPress保守の第一歩——何から手を付ければいいか
保守の重要性は分かった。でも具体的に何から始めればいいのか。ここでは、専門知識がなくても今日から取り組めるステップを順番に紹介します。
ステップ1:まず管理画面にログインして現状を確認する
最初にやるべきことは、WordPress管理画面にログインすることです。ログインできるかどうか、それ自体が現状把握の第一歩です。
ログインしたら、次の点を確認してください。
- 画面上部やメニューに「更新」の通知が何件あるか
- WordPress本体のバージョンはいくつか(管理画面の右下に表示されています)
- 使っていないプラグインやテーマが残っていないか
もしログインIDやパスワードが分からない場合は、それ自体がリスクです。制作会社に問い合わせるか、サーバーの管理画面から確認できることもあります。
ステップ2:バックアップを取る
何か作業をする前に、必ずバックアップを取ってください。バックアップとは、サイトのデータをまるごとコピーして保存しておくことです。これがあれば、万が一更新で不具合が出ても元に戻せます。
バックアップの方法はいくつかありますが、初心者の方はWordPress用のバックアッププラグインを使うのが最も手軽です。レンタルサーバーによっては、サーバー側の機能で自動バックアップを取ってくれているケースもあるので、サーバーの管理画面も確認してみてください。
ステップ3:使っていないプラグインとテーマを削除する
WordPressには「有効化していないが、インストールだけされている」プラグインやテーマが残っていることがあります。使っていなくても、インストールされている限りセキュリティの穴になる可能性があります。
使っていないプラグインは「無効化」ではなく「削除」しましょう。テーマも、現在使っているもの以外は削除して構いません(念のため1つだけデフォルトテーマを残しておくと安心です)。
ステップ4:WordPress本体・プラグイン・テーマを更新する
バックアップを取り終えたら、更新作業に進みます。順番としては、まずプラグインとテーマを先に更新し、その後にWordPress本体を更新するのが一般的です。
ここで注意したいのは、長期間放置していた場合です。バージョンが大きく離れていると、一気に更新すると不具合が出るリスクが高まります。そのような場合は、自分で無理に進めず、次のステップで紹介する「外部への相談」を検討してください。
ステップ5:自分で対応できる範囲かどうかを判断する
ここまでのステップを試してみて、「これなら自分でもできそうだ」と思えたなら、今後も定期的に同じ作業を続けていけば基本的な保守はできます。目安として、月に1回はログインして更新の有無を確認し、バックアップを取る習慣を持つことをおすすめします。
一方、次のような状況であれば、外部の力を借りることを検討してください。
- 更新の通知が何十件もたまっていて、どこから手を付けていいか分からない
- ログインすらできない状態になっている
- すでにサイトに異常が出ている(表示がおかしい、見覚えのないページがある、など)
- 制作会社と連絡が取れない、または契約が切れている
- 社内にWordPressを触れる人が一人もいない
こうした場合は、WordPressの保守を専門に請け負っている会社やフリーランスに相談する方法があります。保守だけを月額契約で依頼できるサービスも増えており、月々数千円から対応してくれるところもあります。
相談先を選ぶときは、いくつかの点を確認しましょう。保守の対応範囲が明確に示されているか。トラブル発生時の連絡手段や対応時間が決まっているか。契約後に追加費用が発生する条件が書かれているか。これらが曖昧なまま契約すると、いざというときに「それは対象外です」と言われてしまう可能性があります。
もう一つ重要な視点があります。保守を依頼する際に、ただ「更新してくれればいい」と丸投げするのではなく、「うちのサイトに何か問題があれば教えてほしい」という姿勢で相談することです。保守を通じてサイトの状態を把握し続けることが、結果として自社のホームページを守ることにつながります。
WordPressは無料で使えるツールだからこそ、保守という目に見えにくい作業にお金や手間をかけることに抵抗を感じるかもしれません。しかし、無料で使えるということは、保守も自分で責任を持つ必要があるということでもあります。有料のサービスであれば提供元がセキュリティ対策をしてくれますが、WordPressでは自分——あるいは自分が依頼した外部パートナー——が対応しなければなりません。
最後にまとめます。WordPressの保守を放置すると、不正アクセス、サイト停止、検索順位の低下、復旧コストの増大といったリスクが積み重なっていきます。逆に言えば、定期的な更新とバックアップという地道な作業を続けるだけで、これらのリスクの大部分は防げます。
まずは今日、管理画面にログインしてみてください。更新通知がいくつ表示されているか確認するだけでも、自社サイトの「健康診断」になります。そこから先は、自分で対応するか、外部に相談するかを判断すればいいのです。大切なのは、放置しないと決めることです。
Q. WordPressの保守とは具体的にどのような作業ですか?
A. WordPress本体・プラグイン・テーマのバージョンアップ、バックアップの取得、セキュリティの点検、サーバー環境のチェックなど、サイトを安全かつ正常に動かし続けるための定期的な手入れのことです。
Q. 保守を放置するとどんなトラブルが起きますか?
A. 不正アクセスによるサイト改ざんや個人情報漏洩、サイトが突然表示されなくなる障害、検索順位の低下による集客力ダウン、さらに復旧・修正コストの大幅な増加といったリスクがあります。
Q. 保守を始めるにはまず何をすればいいですか?
A. まずWordPress管理画面にログインして更新通知の件数やバージョンを確認し、次にバックアップを取得します。その後、使っていないプラグインやテーマを削除し、更新作業を進めます。自分での対応が難しい場合は外部の保守サービスへの相談も有効です。



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