
「借用書って電子で作っても大丈夫なの?」という不安に答えます
友人や取引先にお金を貸すとき、「借用書を作ったほうがいい」と聞いたことはありませんか。でも紙の書類を用意して、印刷して、ハンコを押して、郵送して……と考えると面倒に感じますよね。そこで注目されているのが、借用書をインターネット上で作って交わす方法、つまり「電子契約」です。
電子契約とは、紙の書類を使わずに、パソコンやスマートフォンの画面上で契約を結ぶ仕組みのことです。身近に言うと、宅配便の受け取りでタブレットにサインするイメージに近いものがあります。ただし借用書となると、「法的に認められるのか」「印紙税はどうなるのか」と気になる点が出てきます。
この記事では、電子契約で借用書を作るときに知っておきたいポイントを、むずかしい言葉をなるべく使わずに整理していきます。専門家ではない方でも、読み終わるころには「自分の場合はどうすればいいか」がイメージできるようになるはずです。
電子で作った借用書に法的な効力はあるの?
結論から言うと、電子契約で作った借用書も、紙で作ったものと同じ法的効力があります。その根拠は「電子署名法」という法律です。電子署名法とは、電子データに本人のサインがあると認められれば、紙の署名や押印と同じ効力をもたせるという決まりのことです。
たとえば、AさんがBさんにお金を貸す場合を考えてみましょう。紙の借用書なら、Bさんが自筆で署名し、印鑑を押します。電子契約では、Bさんが画面上で電子署名をします。電子署名とは、デジタルデータに「この内容に本人が同意しました」という証拠を残す仕組みです。身近に言うと、オンラインバンキングのパスワードや本人確認のようなものを、契約書に結びつけるイメージです。
さらに、民法でも、契約は口頭でも書面でも電子でも成立するとされています。つまり「紙じゃないから無効」ということにはなりません。ただし、裁判になったときに証拠として使うには、「誰が」「いつ」「どんな内容で」合意したかをしっかり記録しておくことが大切です。
証拠として残すために押さえたいこと
電子契約で借用書を作るとき、証拠としての強さを高めるために意識したいポイントがあります。以下の3つを確認しておくと安心です。
- 本人確認の方法を記録するメールアドレス認証や電話番号認証など、「確かに本人が操作した」と分かる手段を使うこと。
- タイムスタンプを付けるタイムスタンプとは、「この文書はこの日時に存在していて、その後改ざんされていない」と証明する電子的な日付印のこと。身近に言うと、郵便局の消印のデジタル版です。
- 契約内容を変更できない状態で保存するPDFなどの形式で保存し、あとから書き換えられないようにしておくことが重要です。
これらが揃っていれば、万が一トラブルになったときでも、「この借用書は本物です」と示しやすくなります。

電子契約にすると印紙税はかからないって本当?
これは多くの方が驚くポイントですが、結論として、電子契約で作った借用書には印紙税がかかりません。印紙税とは、一定の金額以上の契約書や領収書などの「紙の文書」に対して課される税金のことです。たとえば、100万円を超える金銭の貸し借りを紙の借用書で交わすと、数百円から数万円の収入印紙を貼る必要があります。
ではなぜ電子契約だと印紙税がかからないのでしょうか。理由はシンプルで、印紙税法が課税の対象としているのは「紙の文書」だからです。電子データは紙の文書ではないため、法律上、課税文書にあたらないと解釈されています。国税庁も過去の見解で、電子メールやクラウド上でやり取りした契約書は印紙税の対象外であるという趣旨の回答を示しています。
具体的にどれくらいの差があるかイメージしてみましょう。たとえば、500万円の借用書を紙で作ると、印紙税は2,000円です。1,000万円を超え5,000万円以下であれば20,000円になります。何度も契約を交わすような場面では、この金額がどんどん積み重なります。電子契約に切り替えるだけで、こうしたコストがゼロになるのは大きなメリットです。
印紙税がかからないことで注意すべき点
ただし、気をつけたいケースもあります。電子契約で合意したあとに、その内容を紙に印刷して双方がサインしてしまうと、それは「紙の文書」扱いになり、印紙税がかかる場合があります。つまり、印紙税をゼロにしたいなら、最後まで電子データのまま保管することが大事です。
また、「電子契約だから印紙税がかからない」という考え方は、あくまで現行の印紙税法の解釈に基づいています。将来的に法律が変わる可能性はゼロではありません。ですから、金額が大きい契約の場合は、税理士や弁護士に相談しておくとより安心です。
借用書を電子契約で作るには、まず何をすればいい?
実際に電子契約で借用書を作る流れは、それほど複雑ではありません。大まかに言うと、次のステップで進みます。
- ステップ1:借用書の内容を決める貸す金額、返済期限、利息の有無、返し方(一括か分割か)など、基本的な条件を書き出します。
- ステップ2:電子契約サービスを選ぶ電子契約サービスとは、インターネット上で契約書を作成し、電子署名やタイムスタンプの機能を使えるウェブサービスのことです。無料で使えるプランを提供しているサービスもあります。
- ステップ3:書類をアップロードまたは入力するサービスの画面に従って、借用書の内容を入力するか、あらかじめ作った文書をアップロードします。
- ステップ4:相手に署名を依頼するサービスから相手のメールアドレスに通知が届き、相手が画面上で署名します。
- ステップ5:双方の署名が完了したら保管する署名が済んだ借用書は、電子データとしてクラウド上やパソコンに保存します。
ここで大切なのは、借用書に書くべき内容をきちんと押さえることです。金額や返済期日だけでなく、「返済が遅れた場合はどうするか」「利息は年何パーセントか」なども明記しておくと、あとからトラブルになりにくくなります。
電子契約サービスを選ぶときは、電子署名法に対応しているかどうかを確認しましょう。対応していないサービスで作った書類は、法的な証拠としての力が弱くなる可能性があります。サービスの説明ページに「電子署名法に準拠」や「タイムスタンプ対応」と書かれているかをチェックするのが目安です。
もう一つ意識しておきたいのが、相手が電子契約に慣れていない場合のフォローです。初めて電子署名をする人は、「画面で何を押せばいいの?」と戸惑うことがあります。事前に「こういうメールが届くので、リンクを押して名前を入力してください」と伝えておくと、やり取りがスムーズに進みます。

まとめ——電子契約の借用書で押さえておきたいポイント
ここまでの内容を振り返ります。借用書を電子契約で作ることは法律上問題なく、紙と同じ効力があります。電子署名法と民法がその根拠です。そして、電子データは紙の文書に該当しないため、印紙税がかかりません。これはコスト面で大きなメリットです。
一方で、証拠としての強さを保つために、本人確認・タイムスタンプ・改ざん防止の3つを意識することが大切です。また、印紙税ゼロのメリットを活かすには、電子データのまま保管し、紙に印刷して署名し直さないようにしましょう。
まずは「借用書に書くべき条件を整理する」ところから始めてみてください。金額、返済期日、利息、遅延時のルールをメモに書き出すだけでも、電子契約に進む準備は大きく前に進みます。内容が固まったら、電子署名法に対応したサービスを探して、実際に試してみるのがおすすめです。
Q. 電子契約で作った借用書に法的効力はありますか?
A. 電子署名法により、電子データに本人の電子署名があると認められれば、紙の署名や押印と同じ法的効力があります。また改正民法でも契約は電子でも成立するとされています。
Q. 電子契約の借用書には印紙税がかからないのですか?
A. 印紙税法が課税対象としているのは紙の文書であり、電子データは課税文書にあたらないため印紙税はかかりません。ただし電子契約後に内容を紙に印刷して双方がサインすると紙の文書扱いとなり、印紙税が発生する場合があります。
Q. 電子契約で借用書の証拠力を高めるにはどうすればよいですか?
A. メールアドレス認証や電話番号認証などによる本人確認の記録、文書の存在日時と非改ざんを証明するタイムスタンプの付与、PDFなど書き換えできない形式での保存の3つを押さえておくと証拠としての強さが高まります。


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